早過ぎだよ完ちゃん CG CLUBのアイドルに捧げる追悼文 

2014.05.08

大先輩に対して失礼だが、こんなに無邪気な人を僕は他に知らない。

 名声欲もなければ、金銭欲だってない。世の中を動かしてやろうとか、変な野心をまったく持たない人だった。
 あるのはただただクルマや飛行機に対する溢れんばかりの愛情や興味、好奇心ばかりの人だった。
 だからこそみんなに愛された。
 彼を知るすべての人が、完ちゃんのことを好きだった。
 僕は彼に対する批判めいた言葉や悪口を、いまだかつて聞いたことがない。
 まだ駆け出しだったこの僕が、初めて完ちゃんに逢ったのは大磯プリンスホテル、JAIA試乗会でのことだった。
 その時もらった名刺の媒体名はBRUTUS。そう彼は現マガジンハウスの前身である平凡出版の契約カメラマンだったのである。つまり社会人としてのキャリアの初期、完ちゃんは“パパラッチ”だった。

 赤坂のコパカバーナかラテンクォーターで、トム・ジョーンズのボディガードに殴られたのは、彼の有名な武勇伝である。
 それが何故モータリング・ジャーナリストに転じたかといえば、単純にクルマが好きでしょうがなかったからだ。
 そしてたぶんそれは正解だった。だってはっきりいってあんまり写真はお上手じゃなかったから。それは本人も認めるところで、冗談まじりにそのことを伝えると、「ガッハッハ、あのな、俺だってそう思うよ!」と笑い飛ばす度量の広さの持ち主だった。

 だからこそ今我々は大きな喪失感に苛まれている。はっきりいえば寂しくしてしょうがない。だってあまりに急だし、あまりに早過ぎるよ完ちゃん。

 彰太郎さん、完ちゃんが旅立ちましたよ。またふたりで憎まれ口叩き合いながら、クルマの話し、ミニチュアカーの話し、飛行機の話しで盛り上がってください。

(株式会社カーグラフィック代表 加藤哲也)