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キックオフは上々

2013.03.13

 昨年開催したCG創刊50周年記念イベント「CG FESTA」とはまた違った感慨にひたった夜だった。
 3月8日、金曜夜8時から代官山蔦屋書店で行った「クルマはかくして作られる4 レクサスLFAの設計と生産」刊行記念トークショー&サイン会でのことである。この本は我々株式会社カーグラフィックにとって、初のムックとなる記念すべき1冊だ。その新たな一歩を記す夜に、我々の想像を超えるたくさんの方々に来場してもらったのだから、天にも昇るほどうれしかった。これまで代官山蔦屋で行ってきたこの種のイベントでは段トツ1位の動員数だったという。

 会社設立から3年足らず、これまで我々は「CAR GRAPHIC」という定期刊行物1誌だけに注力する小さな出版社だった。いや正確にいうならCGしか取り扱えなかったのである。
 なぜか?

 本という商品は、そのほとんどが「取次」と呼ばれる流通業者によって日本中の書店に配送される。しかし我々がこれまで取次各社と結んだ契約はCGという雑誌だけで、ムックはムック、書籍は書籍として個別に契約を交わす必要があるのである。
 実をいうとこの契約のハードルが、新規出版社にとってはとてつもなく高い。
「CG」本誌も「クルマはかくして作られる」も二玄社時代から実績を積んできた雑誌やムックではあるが、契約はあくまで創立3年にも満たないいち出版社と流通業者として交わされるため、いくら“暖簾”が古くても新参者である我々は、まったく新規の取引先として交渉に臨まざるを得ないからだ。
 やっと取次8社すべてと契約を終えたのは2月の半ば、すでに編集作業も大詰めの段階を迎えたときのことだった。これでやっと「クルマはかくして」シリーズの最新刊を読者の皆さんのお手元に届けることができる、と正直ホッとしたものだ。

 本は完成した。販路も確保できた。しかし我々にはまだやるべきことがある。しっかりと売ることだ。もちろん著者の福野礼一郎さんにはある種熱狂的なファンが多くいることは知っている。過去の「クルマはかくして」シリーズが重版に重版を重ねるほど人気が高かったことも。
 だからある種の手応えを感じていたことも事実だ。しかし長く出版に携わっていると、その手応えがいかに根拠のないものであるか、を嫌というほど痛感することがままある。
 だからこそ発売日からわずか2日後、夜の代官山にこれほど多くの読者の皆さんが詰めかけてくれたことがうれしかった。株式会社カーグラフィック初のムックがこれほど多くの、しかも熱心な読者に支持されていることを目の当たりにできたからだ。トークショー会場は立ち見の方を含め溢れんばかりだったし、その余韻さめやらぬままに行われたサイン会には1時間以上という長蛇の列ができた。

 成功の予感が確信に変わったといっていい。暖かな春の一夜、代官山蔦屋書店に集まって下さった多くの人に感謝の気持ちを伝えたい。いやこの日来場できなくても、「クルマはかくして作られる4 レクサスLFAの設計と生産」を購入してくれたすべての読者の方々にお礼をいいたい。

 本当にありがとうございました。

 ちなみにイベントを終え5日経った今も、当社営業部には全国の書店から追加注文の電話が鳴り響いている。